例えばそれが詩というか。

ネット詩人、5or6。若いミュージシャンを応援したり、ラーメン食べたり、詩を書いたり。

菊の花

10年近く連絡しないまま生きていた俺が
都落して実家に帰ってきたら
親父はパーキンソン病になっていた
地元から出た時の親父は
営業トップの人で口が達者だった
帰ってきた時はあまり喋らず
頭に機械を埋め込まれて
少し震えながら一言二言喋るだけだった
子供の頃
親父はいつも仕事で
帰ってくると足は臭くて
すぐオナラをするし
ハゲていて嫌いだった
まるで今の俺だ
でも親父の方が金を稼いでいた
いつも俺と話すときは
お金を稼いでいるかと聞いていた
親父は俺を見放している
と思って生きていた
中学生の頃
頭を怪我をしてからあいつはバカになったとよく言っていた
俺もそうだなと思った
俺はあまり両親に愛情は無かった
親父が死んだ日も
顔を見ずに寝た
葬式も泣かなかった
ばあちゃんや
姉の旦那が死んだ時は泣いたけど
親父の時は泣かなかった
俺は親父が好きでは無かった
無くなる三日前に昏睡状態の親父の病室で
娘を抱きながら
ありがとうと
顔を見て言った
親父は少し笑ったように見えた
そして肺炎で死んだ
実家では無く病院で
俺は死ぬ時どこにいるのか
わからない
別に一人でも良いと昔は思っていたが
今は嫁と娘に看取られたい
その時
娘は俺にありがとうと言ってくれるのだろうか

今はまだ
俺の背中におんぶをねだる
もし娘と意思疎通できなくても
俺はちゃんと愛せるのだろうか
わからないけど
親父が生きている時
庭で育てていた菊の花はとても見事に咲いていて
綺麗だねと言ったら
親父が震える手で水を撒きながら
照れた顔をしていた姿を
俺は忘れないように
娘が俺の背中を
忘れないように
しっかりと背負って歩いて行きたい
親父の残した菊の花は
心の中で
今年も綺麗に咲いている